共生型サービスは、福祉サービスのなかでは比較的新しく誕生したものである。共生型サービスとは、簡単にいうと介護福祉事業者が障害福祉サービスを兼ねることが可能になるという制度だ。
この制度が導入された背景には、障害者もしくは障害児が65歳を迎えると、それまで利用していたデイサービスなどを利用できなくなり新たに高齢者対象の介護福祉サービスへ移らなくてならないということがあった。
福祉制度や福祉政策の縦割りにおけるこの弊害は、切れ目のないサービスを必要としている利用者の利便性を著しく悪化させていた。それだけでなく、その分だけ多くの福祉事業所が必要となり、福祉に携わる業界の慢性的な人員不足の原因の1つともなっていた。
こうした状況を打破し、地域一体となった福祉サービスをこれまで以上に推進するために導入されたのが共生型サービスだ。条件を満たした福祉事業者は、高齢者介護事業と障害者や障害児の福祉事業を同一事業所内で同時に行うことができる。
もちろん人員の増員も必要だが、別々の場所に事業所を用意するよりははるかに少ない人数で運営することができる。たとえば介護に直接携わるスタッフの人数を削ることはできないかもしれないが、事務スタッフの人員削減はできるだろう。
働いているスタッフも一体化した福祉の現場に身を置くことで、より包括的な福祉のあり方について考えるきっかけを持つことにもなる。事業者のみならず自治体や地域も巻き込んだ大きな組織としての役割が期待されている。